1986年、チェルノブイリ原発4号炉で事故が発生する。
チェルノブイリ原発事故とは?
チェルノブイリ原発事故(チェルノブイリげんぱつじこ)は、世界最悪の原子力事故といわれ、のちに決められた国際原子力事象評価尺度(INES)では深刻な事故を示すレベル7に分類された。
チェルノブイリ原発事故は炉心溶融(ろしんゆうかい)して爆発したもので、この事故による放射能の被害は、チェルノブイリのあった現在のウクライナだけではなく、隣国のベラルーシやロシアにも広がった。
ソ連政府の発表によるこの事故の死者数は、運転員や消防士などを合わせた33名だが、事故の処理にあたった軍人、トンネルの掘削(くっさく)を行なった炭鉱労働者(たんこうろうどうしゃ)に多数の死者が確認されている。
爆発炎上(ばくはつえんじょう)して破壊されたチェルノブイリ4号炉(ろ)
出典:http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/Henc.html
2018年現在もなお、原発から半径30キロ以内の地域での居住が禁止されるとともに、原発から北東へ向かって約350キロの範囲内にはホットスポットと呼ばれる高濃度汚染地域(こうのうどおせんちいき)が約100か所にわたって点在(てんざい)する。これらホットスポット内では農業や畜産業(ちくさんぎょう)などが全面的に禁止されており、また、その周辺でも制限されている地域がある。
チェルノブイリ原発事故の原因は?
チェルノブイリ原発事故は、原子炉内の核分裂反応の制御(せいぎょ)に失敗して原子炉が爆発(ばくはつ)し、大量の放射能(ほうしゃのう)が環境(かんきょう)に放出された事故だ。その原因は、主に2つある。ひとつは原子炉の設計の欠陥(けっかん)、もうひとつは責任当局の怠慢(たいまん)だ。
ソ連政府の当初の報告では、その事故原因は運転員の規則違反であるとされたが、後年それとはまったく異なる報告が発表された。その報告は、
「事故の原因は、設計の欠陥と責任当局の怠慢にあり、チェルノブイリのような事故はいずれ避けられないものであった」
と述べている。
チェルノブイリ原発事故の原因は、運転員の規則違反ではなく、チェルノブイリ型原子炉がもつポジティブ・スクラム、および旧ソ連全体にあったセイフティー・カルチャーの欠如(けつじょ)だ。
すなわち、チェルノブイリ型原子炉がもつ欠陥と、国レベルで有効な規制体制が確立されておらず、設計者およびプラントレベルで十分な規則や手順が整備されていなかったことが事故の原因となったのだ。
チェルノブイリ原発事故の影響は?
チェルノブイリ原発事故が起こった際、放射性降下物(ほうしゃせいこうかぶつ)はベラルーシ、ウクライナ、ロシアだけでなく、ヨーロッパの広い地域にまで降り注いだ。そのため、この事故は汚染食品の摂取(せっしゅ)等による内部被曝(ないぶひばく)も含め、相当数の人々に影響を及ぼしたと見られている。
とくに知られているのが、小児の甲状腺癌(こうじょうせんがん)の発生だ。
チェルノブイリ雲と呼ばれる放射性プルーム (radioactive plume) による放射能汚染の影響は、遠くアメリカにまで及んでおり、イギリスでは、今なお小児の甲状腺癌(こうじょうせんがん)を引き起こしているとの報告がある。また、ウクライナの汚染地域(おせんちいき)においては、膀胱癌(ぼうこうがん)の増加が報告されている。
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